委託本アリ、評論同人誌『次元往復』

サイボーグコスプレィヤーの夏一葉さんid:natsu-kが企画し編集長となって作った評論同人誌『次元往復 vol.1』を、ウチのブースで委託販売します。私も編集顧問として名前を連ねつつ、寄稿したり校正を手伝ったり。表紙の絵も提供したのですが、これがなんとサークルカットに使ったマリみて姉妹、祥子と祐巳だったりするので、一見委託でなくウチの新刊に見えること間違いなし!? でも、今回のvol.1はマリみて度低いのだ。みなさん、勘違いして買わなかったり買ったりしてね! 

手元に目次が無いので、編集実務を担当してくれたほっつの日記id:hhosono:20031225#p1など参照しつつ内容を紹介すると。

■「ポストオタク=サイボーグ宣言 〜刊行の辞にかえて〜」夏一葉
『次元往復』のコンスタティブなマニフェスト。私が知るかぎり、ダナ・ハラウェイの「サイボーグ宣言」を最もわかりやすくパラフレーズできるライターによる、でもダナ・ハラウェイ並みに密度が高い刊行辞。

■対談「少女表現における、無傷と傷 〜『ファウスト』の表紙とゴスロリ表現〜」夏一葉×麗
夏さんと、ゴスロリ研究者の麗さんとの対談。『美術手帖』10月号の東浩紀×五十嵐太郎対談での最近の身体表現への言及を皮切りに、注目雑誌『ファウスト』の表紙にまつわるイデオロギー分析まで、男性性の盲点を突く着眼がちりばめられてます。文体も女言葉のまま。男装を強いられる知的言説空間にパフォーマティブに反抗だ!

■「サイボーグ・ガンスリンガー・ガール夏一葉
最良だとされる作品にこそ、そのジャンルの隠された欲望も読み取れるということを証明する掌編エッセイ。

■「分析の奇妙な博士――斎藤環やおい」論への疑問とその検討」前川晶
もっとも論争的なエッセイか? やおい論の書き手が踏まえるべきジャンル上の言説の蓄積を高密度で網羅する論文。サブカルチャーを論ずるハイカルチャーの書き手を批判する、といっても、ネットによくありがちな「アレを知らないのか」の一言だけ嫌みたらしく書いて「だからそのアレが何か教えてくれよ!」とツッコミたくなるサブカルチャー側の不毛な態度も、返す刀で切りつけるような情報量。もはや斎藤環批判というより、斎藤さんに薦める参考文献一覧みたいな親切さに満ちてます。

■「男性オタクよ!/美少女主義者たらんとせば/いま一息よ 第一回」砂
主体と対象化、みたいな素朴な用語でここまで男性オタクの問題がわかっていいのか、なんてぐったりしながら書いた私自身のエッセイ。これ以上現実の少女に迷惑をかけないために、男性オタクに広義の「女装」を開始することを薦めていますの。

って感じの、実にパフォーマティブなコンセプト同人誌に仕上がっています。乞うご期待!