東京モーターショー、この資本主義の大伽藍

というわけでモーターショーに行ってきた。ごめん、友人や友人でないみんな。今日しか暇が無かったんだよう。だってほら、私、キャンギャル漫画家だし。2年に一度行かねばならないのよ。


ところで2年に一度の巨大イベント「東京モーターショー」とは何か。観に行ったことのない人は、ぜひ一度行った方がいい。幕張メッセ会場を分割し、時には二階建にすらなる大手自動車メーカーが組む巨大なセット群。そのセットに据え置かれ、まばゆいライティングを照らし返す、各社の技術と美学の粋を注いで作られた自動車諸機械。それはむしろ奈良や京都の巨大寺院を訪れた時にも似て、ほとんど国家を体感させる現代でもまれな場所になっている。実際、自動車産業ほど近代国家と強力に結合した産業資本はまたとない(たとえば、舗装道路網を作り続けるものは何か?)。東京モーターショーとは産業資本主義の大伽藍である。


しかも、このひしめく世俗化した聖堂群*1には、それぞれの自動車という聖像に付き控える司祭たちがいるのだ。むしろ巫女と呼ぶべきかもしれない、自動車のわきに立つとんでもないカッコをした美女たち、キャンギャルだ。国家すら感じさせる資本と技術の場所に、未来風で露出過多のミニスカ、ホットパンツ姿のギャル。これはもう目も眩むほど奇妙な光景である。もちろん、なぜ車のわきに女か、という道理は明らかだ。精神分析など持ち出すまでもなく、それは「いい車に乗っていい女に乗ろう」という、男性中心主義的な購買意欲を促すメタメッセージにほかならない。だが、それがかくも荒唐無稽な光景を作り出すこと、それは解釈を越えた事実なのだ。いやほんと、いっぺん観に行った方がいいですよ!


というわけで、私はもっぱらそのキャンギャルの方を目当てに幕張メッセへと足を踏み入れたのだったが……。

*1:ちなみに、砂の選ぶ今年のセットベスト1はトヨタ。二階建で、一階のメインブースでは円形のホバークラフトに自動車を乗せて縦横に披露していた。他は日産、ゴーンさまのお力で金持ってんぞーって感じにセットも木目調で重厚だった。前回、ASIMOをメインのキャンギャル?にして度肝を抜いていたホンダだったが、今年はASIMOもカウンター奥で手を振るばかり。ASIMOを雇う金もケチらねばならないのだろうか……。